Home
宇宙データオンデマンドは、AIとコンピューティング技術で、顧客起点の衛星データの創出と、衛星データと地上データを融合した統合的な分析を実現し、産業や社会の課題を解決していく技術です。
宇宙データオンデマンドがもたらす価値
- 衛星エッジコンピューティング
- 衛星で取得したデータから重要な知見を、素早く正確に検出し地上に送信することが可能になります。今まで実現できなかった準リアルタイムの新しいサービスを可能にします。
- データ高解像度化技術
- AIによって空間分解能を向上させ、観測データが少ない地域でも高精度な予測を可能にします。例えば、降水予測を行う「降水量推定高精度化技術」では、今までできなかった高精度な降水予測が可能になります。
- 大規模地理情報処理基盤
- 衛星データと地上の産業データ(港湾データ、陸上輸送データ、工場IoT、POSデータ、人流データなど)を衛星データ・産業データ融合技術で融合し、地球上のあらゆる場所の経済活動や社会の動態、グローバル輸送の状況をリアルタイムで可視化します。
|
|
|
|
|
|
|
|
|
技術概要
ターゲット業界・ユーザー
- グローバルに展開する製造業、商社、小売業、およびそれらを支える海運会社、物流会社、倉庫会社など、複雑な輸送網を持つ大企業。
- 人工衛星のデータを準リアルタイムで取得、分析し、いち早く結果を通知するサービス提供者
ターゲット業界・業務の課題
- グローバル輸送の不透明性: 遠隔地や海上輸送など、自社の輸送全体をリアルタイムで正確に把握できていない。
- 予期せぬリスクへの対応遅延: 自然災害、港湾混雑、地政学リスクなど、予期せぬ事態が発生した際に、その影響範囲やビジネスインパクトを迅速に把握し、適切な対策を講じることが難しい。
- 予測精度の限界: 従来の予測モデルでは、複合的な要因が絡むグローバル輸送の未来(例:到着予定時刻)を十分に高精度で予測できず、機会損失や追加コストが発生している。
- 部分最適化の限界: 個々の輸送モードや拠点ごとの最適化は進むものの、グローバル輸送全体での最適化が困難で、非効率やボトルネックが解消されない。
技術課題
- 広域・高頻度なリアルタイムデータ収集能力: 地上インフラに依存しない、地球規模での継続的かつ高頻度なデータ収集手段(特に遠隔地や海上)が不足している。
- 異種データの統合・分析能力: 衛星データ、気象データ、産業データ(AIS、港湾情報、陸上輸送データ、工場IoT、POSデータ、人流データなど)といった多様な形式・粒度のデータをシームレスに統合し、意味のある洞察を導き出す技術が不足している。
- 複雑な時空間的因果関係のモデリング能力: 複数の要因が絡み合うグローバル輸送の動態や、ある場所での事象が他の場所に与える影響を、高精度に予測・シミュレーションできるAI技術が不足している。
- 柔軟な宇宙プラットフォーム: ユーザーニーズに合わせて容易にプログラミングできる、高性能で高信頼性の環境を実現する技術が不足している。
宇宙データオンデマンドがもたらす価値(詳細)
- 「地球観測」によるプロアクティブな経営:
- なぜ価値につながるか: 大規模地理情報処理基盤は、衛星の高頻度観測と地上のリアルタイムデータを衛星データ・産業データ融合技術で継続的に処理し、ビジネス環境の変化を日次・時間単位で捉えます。これにより、グローバル輸送のボトルネック、災害の被害状況、競合の生産動向などを即座に、かつ網羅的に把握できます。
- 価値: 問題発生後の「事後対応」から、兆候を捉えて先手を打つ「プロアクティブな経営」へと意思決定の質そのものを変革し、機会損失の回避やコスト削減に直結します。
- 圧倒的な予測精度によるビジネスインパクトの最小化:
- なぜ価値につながるか: 降水量推定高精度化技術による高精度な災害予測に加え、衛星データ・産業データ融合技術が衛星データから抽出した高度な意味情報と多様な産業データを統合したリッチな時空間グラフをSTGNNsで学習することで、従来の統計モデルでは不可能だった高精度な未来予測を提供します。
- 価値: 1日あたり数万ドルに達するコンテナの遅延損害金(Demurrage & Detention fees)の回避、生産ラインの停止や販売機会の損失といった深刻な二次的損害の防止、最適な在庫配置や輸送計画によるコスト効率の最大化を実現します。
- グローバル輸送全体の「全体最適」による持続的な競争優位性:
- なぜ価値につながるか: 大規模地理情報処理基盤は、グローバル輸送全体を分断された個別の要素としてではなく、統一グリッド上で一つの統合された「地理空間グラフ」としてモデル化します。このグラフ上でSTGNNsを用いることで、ある部分への介入がシステム全体に及ぼす影響(波及効果)をシミュレーションし、個々の部分最適の総和では決して到達できない、システム全体のパフォーマンスを最大化する「全体最適」な解を導き出します。
- 価値: 港湾、陸運、倉庫といった関係者全体の動きをシミュレーションし、エコシステム全体の効率を最大化するオペレーションを提案することで、持続的な競争優位性を確立します。
- 衛星観測情報の準リアルタイムな提供:
- なぜ価値につながるか: データ処理が高度になるため地上で公開されるまで処理できなかったアプリケーションに対し、衛星上で即時に処理を行い、重要な結果のみを短時間で通知できます。
- 価値: 数時間後では意味がなくなる、すぐに通知する必要のあるアプリを実現します。
富士通の技術優位性
- 衛星データ・産業データ融合技術によるデータ融合の深さ: 衛星データと産業データを単に重ね合わせるだけでなく、地理空間グラフ構造とSTGNNs(時空間グラフニューラルネットワーク)を用いて、両者の時間的・空間的な因果関係を深く学習・推論する衛星データ・産業データ融合技術は、他社にはない独自の強みです。これにより、より高精度で信頼性の高い予測と最適化を実現します。
- 降水量推定高精度化技術による地上観測網が乏しい地域での高精度予測: 衛星データのみで高精度な降水予測を可能にする降水量推定高精度化技術は、特に発展途上国や遠隔地など、地上観測データが不足している地域での自然災害リスク予測において、他社を凌駕する優位性を持っています。
- エンドツーエンドの統合アーキテクチャ: データ収集から前処理、特徴量抽出(ファウンデーションモデル活用)、モデリング(STGNNs)、そして具体的な課題解決までを一気通貫で提供する大規模地理情報処理基盤の統合アーキテクチャは、競合の「ポイントソリューション」とは異なり、真の「全体最適」を可能にします。
- 高負荷処理での安全性: 処理の効率化と低消費電力化により、宇宙線起源のエラーを検出、訂正し高信頼を実現します。
利用シーン
- エンドユーザー
- シーン1: グローバル輸送の計画・実行段階でのリスク評価
- 活かし方: コーヒー豆の輸送計画を立てる際、大規模地理情報処理基盤の画面でブラジルの農園周辺の地図を表示し、降水量推定高精度化技術による降水予測で洪水リスクが高いエリアを事前に把握。大規模地理情報処理基盤が提示する代替ルートを選択することで、輸送開始前の段階で自然災害による遅延リスクを回避できます。
- シーン2: 海上輸送中の予期せぬ事態への対応
- 活かし方: 輸送中の船舶が目的地である東京港に近づいた際、大規模地理情報処理基盤が衛星データ(光学、AIS)を衛星データ・産業データ融合技術で分析し、公式情報以上の深刻な港湾混雑を検知。大規模地理情報処理基盤が提示する複数の代替案(例:関西の港への変更)の中から、コスト・遅延・ビジネスインパクトを考慮して最適な選択肢を迅速に決定し、致命的なビジネス損失を回避できます。
-
シーン3: グローバル輸送全体のレジリエンス強化とESG経営
- 活かし方: 大規模地理情報処理基盤は、サプライヤーの工場稼働状況、輸送ルート上の環境リスク(例:メタン排出、森林破壊)、港湾の混雑状況などを継続的に衛星データ・産業データ融合技術でモニタリング。これにより、グローバル輸送全体の透明性を高め、ESG報告のための検証可能な証拠を提供するとともに、潜在的なリスクを早期に特定し、プロアクティブな対策を講じることで、グローバル輸送の強靭化と持続可能性向上に貢献します。
-
アプリ開発者
- シーン1: 既存のグローバル輸送管理システムへの機能拡張
- 活かし方: 大規模地理情報処理基盤が提供するAPI(Feature Extraction API, STGNN Forecast API, Geo-enrichment APIなど)を活用し、既存のSCM/ERPシステムに、衛星データに基づくリアルタイムなリスク予測、高精度なETA予測、代替ルート提案などの機能を容易に組み込むことができます。これにより、自社で衛星データ処理や高度なAIモデル開発を行うことなく、システムの価値を向上させられます。
- シーン2: 特定業界向け地理空間インテリジェンスアプリケーションの開発
- 活かし方: 大規模地理情報処理基盤の衛星データ・産業データ融合技術を基盤として、例えば農業分野であれば作物の生育状況モニタリングと収穫量予測、金融分野であれば投資先の地理空間リスク評価など、特定の業界ニーズに特化した新しい地理空間インテリジェンスアプリケーションを迅速に開発できます。大規模地理情報処理基盤がデータ統合、AI推論、API提供といった共通機能を一元的に提供するため、開発者はアプリケーション固有のロジック開発に集中できます。
- シーン3: デジタルツイン構築・シミュレーションプラットフォームとの連携
- 活かし方: 大規模地理情報処理基盤が生成する地理空間グラフデータや予測結果を、富士通のSocial Digital Twinなどのデジタルツインプラットフォームと連携させることで、より詳細なシミュレーションや政策立案支援、都市計画の最適化など、高度なユースケースを実現するアプリケーションを開発できます。
事例・ユースケース
- (今後)グローバル輸送最適化PoC:
- 高品質コーヒー豆のブラジルから日本への輸送を想定し、降水量推定高精度化技術による生産地での洪水リスク予測、衛星データ・産業データ融合技術による東京港の混雑状況の衛星データからの検知、および代替港への航路変更によるビジネス損失回避のデモを実施。数千万円規模の損失リスク回避の可能性を提示し、大規模地理情報処理基盤の価値を実証予定。
- 港湾のコンテナヤードにおける混雑状況を衛星SAR画像とAISデータからリアルタイムで衛星データ・産業データ融合技術により分析。AIがコンテナの搬出入スケジュールを最適化し、トラックの待機時間削減やバース稼働率向上に貢献するソリューションを開発中。
関連情報
- 社外発表
- その他
