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Web画面操作マニュアル

1.はじめに

1.1 本マニュアルの目的

施策立案支援技術「Policy Twin」のデモの使い方をご紹介します。

1.2 前提条件

  • Fujitsu Research Portalのアカウントを保有していること

1.3 動作環境

  • 推奨ブラウザ: Chrome

2.手順-サンプルの事業でPolicy Twinを体験する

2.1 デモ画面にログイン

Fujitsu Research Portalから、技術一覧にあるPolicy Twinの「詳細はこちら」をクリックします。

ページ内にある「デモ」ボタンをクリックすると、デモを利用することができます。 デモのトップ画面は以下のような画面です。

2.2 サンプルの事業を選択

サンプルの事業が表示されているので、体験したい事業の「変更」ボタンをクリックします。

このデモは、画面上部の3つのタブ「施策登録」→「施策一覧」→「施策評価」に沿って3Stepで進みます。 この画面ではあらかじめ登録されている複数のフロー形式の施策を表示して確認できます。 フロー上部の「<」もしくは「>」ボタンをクリックすると他の施策を表示できます。 「施策一覧」タブをクリックして、次に進んでください。

2.3 施策の比較検討

この画面では、施策を複数表示して比較検討できます。 左の「施策候補」リストから複数の施策をチェックして選ぶと、選んだ施策のフローが表示されます。フローの構造の違いや分岐条件の違いなど見てみましょう。 これらの施策を実行した場合にどれくらいの効果になりそうかを確認するため、「施策評価」タブをクリックして次に進んでください。

2.4 シミュレーションによる施策の評価結果

この画面では、シミュレーションによる施策の評価結果を確認できます。 「評価結果一覧」リストには各施策の名前と目標指標が表示されており、各目標指標の数値はシミュレーションによる推定結果です。 比較したい施策の詳細を見るために、比較したい施策の「複数表示」列のチェックボックスをチェックして選び、「詳細比較」タブをクリックしてください。

複数の施策のフローとレーダーチャートが表示されます。 施策を実行した場合の各目標指標のシミュレーション結果がレーダーチャートと散布図に表示されています。選択した複数の施策の比較検討により、効果が最大化となる施策を見つけることができます。

各施策の詳細を確認するため、各フローの下の「人流の確認」をクリックします。 この画面では、施策を実施した場合にフロー上のどのルートにどれだけ人が流れるかのシミュレーション結果を示しています。一番左のstartでは5000人の人が施策の対象となっていますが、最初のひし形の条件分岐で869人と85人に分かれて右に進んでおり、それ以外の4046人が分岐以降のサービスを受けていないことを示しています。 さらに画面を下にスクロールしてください。

このサンキーダイアグラムでは、施策を実行した場合に人がどのサービスを受けるかの流量を線の太さで示しています。一番左の施策の対象全体の人数が、条件分岐ごとにどのように分かれて、最終的に一番右のサービス(この図では訪問指導)にどれだけの人数が至ったかを直感的に把握できるように示しています。

3.手順-各Usecaseのシミュレーションを実行する

以降は、具体的なユースケースに従った説明をします。

3.1 ユースケース: 重複服薬

3.1.1 概要

このユースケースでは、医療分野における「重複服薬」の問題を扱います。重複服薬とはどんな問題なのかの詳細についてはこちらを参照してください。また、サンプルデータをこちらから入手してください。具体的には、以下のような利用シーンを想定しています:

あなたはある仮想の自治体Aの職員であり、今年度の服薬指導事業の内容を検討する必要があります。すでにベースとなる基本的な事業内容は存在していますが、「より効果的な内容に改善できないか、検討をしてほしい」という要望が来ています。なお、他の近隣の仮想の自治体B自治体Cでも服薬指導事業の内容はそれぞれ別に検討がされているようです。そこで、「Policy Twin」を活用して、他の自治体の事業内容なども参考にしながら、よりよい事業内容を検討していきたいと思います。

3.1.2 施策の作成、内容の確認

Policy Twinを使って、まずは自治体Aについてのデジタル化した服薬指導事業の内容を確認してみましょう。 「2.手順」での説明に従い、デモ画面にログインし、トップ画面の「新規施策」ボタンをクリックします。まずは事業の名前として「自治体Aのデジタルリハーサル」等を入力します。
※トップ画面の「新規施策」ではサンプル事業を含めて10件まで作成できます。さらに作成したい場合は、作成済みデータが削除されるまでお待ちください。(通常は作成してから24h経過後の 00:00(JST) に、作成済みの事業が全て自動で削除されます)
※同じ名前の事業は複数作成ができないためご注意ください。

サンプルデータ中の「自治体A.bpmn」のファイルをアップロードして登録します。現れたウィンドウで、アップロードしたファイルの名前として「自治体A」等を入力します。

これにより、自治体Aについての服薬指導施策(改善検討をする前の状態)がフロー形式で可視化され、内容の確認をすることができます。フローでは、一番左から順番に以下のような内容が表現されています:

  1. 重複受診の基準に該当する住民を探したいために、ある住民が「同一の薬を処方している医療機関数が2つ以上存在していること」かつ「その処方が60日以上であること」という基準に該当するかチェックをする
  2. 基準に該当する場合、それを今回の施策の対象者として抽出する
  3. ある特定の疾患(ガンや難病)にかかっている場合は、特例として今回の対象者から除外したいためにチェックをする
  4. 最終的に残った対象者に対し、はがき・薬局などで通知をすることで、服薬指導の参加に同意するかどうかの確認を行う(同意がとれた対象者に対しては、その後担当者が指導を行う)

3.1.3 シミュレーションに必要なデータの設定と実行

今回は、「複数の自治体の服薬指導施策がすでにデジタルに変換され、蓄積がされていた」と想定して、サンプルデータ中に自治体B・自治体Cのフローのファイルが準備されています。これらを活用することで、自治体Aにおいて、仮想的に自治体B・自治体Cの施策などが実施された場合を再現したシミュレーションを行うことができます。

「データ選択」をクリックします。シミュレーションに必要なデータなどの設定をしていきます。

  • 設定
    • 再構成モード:「Off」を選択します。
    • 学習データ:サンプルデータ中の「traindata.csv」をアップロードし、クリックして選択します。
    • テストデータ:サンプルデータ中の「testdata.csv」をアップロードし、クリックして選択します。
    • フロー:今回は、自治体Aだけでなく他の自治体も参考としたいため、「自治体B.bpmn」→「自治体C.bpmn」の順番にアップロードし、登録済(3件)となっていることを確認します。
    • 右上の歯車のアイコンをクリックして構成画面に遷移します。さらに右上の歯車のドキュメントのアイコンをクリックし、サンプルデータ中の「changeDisplayWord.json」をアップロードします。「保存」ボタンをクリックすると、概要画面に戻ります。

3.1.4 各自治体の施策を対象にしたシミュレーションの結果の表示

画面左上の「Policy Twin」ロゴをクリックし、トップ画面に戻ります。緑色の「SUCCESS」表示になりシミュレーションが正常に完了したことを確認できたら、「変更」をクリックし、さらに画面上部の「施策評価」タブをクリックすることで、シミュレーションの結果が確認できます。

シミュレーションの結果、自治体A・B・Cの施策について、5つの観点での効果が算出されています。

  • 医療費節減効果:医療費を節減できる金額(円)
  • 通知勧奨数:はがき・薬局などでの通知を行う対象者の人数(人)
  • 保健指導数:通知をした対象者の中で、訪問指導の参加に同意する対象者の人数(人)
  • 健康改善効果:保健指導に参加した対象者の中で、改善が見込まれる人数(人)
  • リソース:予め定まっている保健指導可能なリソース上限値と上記保健指導数との関係値

また結果から、以下のような考察をすることができます。

  • 評価結果一覧」の部分を見ると、自治体Aの施策を実施した場合では、保健指導ができる人数が非常に少ない。それに対し自治体Bや自治体Cの施策を実施すると、より多くの人に保健指導ができるようになる。

  • 目標指標散布図」の部分で、Y軸を保健指導数/X軸を医療費節減効果と設定した場合を見ると、医療費節減効果と保健指導数は正の相関関係にある。最も左下にあるのが自治体Aに対し、真ん中が自治体C、右上が自治体Bとなり、保健指導数とともに医療費節減効果も高くなることがわかる。

これらの考察から、自治体Aよりも自治体B・Cの施策のほうが優れている可能性がありますが、現実的には、各自治体の事情(保健指導をするのに必要な担当者の人数リソースなどの)を考慮して決定する必要があります。例えば自治体Aにおいて、限られた担当者リソース(数人)しかいないと仮定します。この状態で自治体B・自治体Cと全く同じ施策をそのまま実施すると、急激に保健指導しなくてはならない人数が増えるため、リソースが逼迫してしまう可能性があります。

このような場合を想定して、再構成機能により、自治体A・B・Cの施策を考慮した新しい候補を生成してみましょう。

3.1.5 新たな施策候補の自動生成

それでは新しい施策候補を自動生成してみましょう。トップ画面から、「新規施策」ボタンをクリックし、先ほどとは異なる名前として「自治体Aの自動生成」等を入力します。

後は先ほどの同様の手順で進んでいきますが、再構成モードを選択する箇所のみ、先ほどと異なり「On」とします。

  • 設定
    • 再構成モード:「On」を選択します。
    • その他は、同様にファイルは同一のものを選択します。

3.1.6 自動生成した施策を対象にしたシミュレーションの結果の表示

先ほどと同様にトップ画面に戻ります。緑色の「SUCCESS」表示になりシミュレーションが正常に完了したことを確認できたら、「変更」をクリックし、さらに画面上部の「施策評価」タブをクリックすることで、シミュレーションの結果が確認できます。

シミュレーションの結果、自治体A・B・Cの施策を元にして多数の候補が自動生成され、先程と同様に5つの観点での効果が算出されています。生成された候補には、"新たな施策候補0","新たな施策候補1",...といった名前が自動で付与されています。

また結果から、以下のような考察をすることができます。

  • 評価結果一覧」の部分で、「保健指導数」をクリックして昇順にソートする。自治体Aの施策を実施した場合では、保健指導ができる人数が非常に少ない。それに対し自動生成された候補では幅広い様々な選択肢を有しており、より多くの保健指導が可能となる候補も存在している。 ここで現実のリソースを考慮し、例えば保健指導数の値が自治体Aと自治体Cの間になるような候補に着目するとする。
  • 次に「詳細比較」により、自治体Aと着目した候補を複数選択し、結果を比較する。例えば候補のうち1つを詳細に確認すると、自治体Aと基本的には類似した内容になっているが、フローの前半の条件が自治体Cのものに変更されていることがわかる。
  • 目標指標散布図」の部分で、Y軸を保健指導数/X軸を医療費節減効果と設定した場合を見ると、さきほどと同じく医療費節減効果と保健指導数はおおむね正の相関関係にある。左下のほうに自治体A、真ん中のほうに自治体C、右上のほうに自治体Bがあるが、それらを埋める形で自動生成された施策が多数存在している。

これらの考察から、それぞれの自治体の特徴が考慮された候補が自動生成されており、現実のリソースを考慮しながら、よりよい自治体Aの施策を検討できることがわかります。