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地域住民にとって最適な移動手段を確保するため
様々な条件でシミュレーションを行い、持続可能な公共交通の導入運用を支援する技術
様々な条件でシミュレーションを行い、持続可能な公共交通の導入運用を支援する技術
地域における社会課題

いま日本の各地で、住民の移動手段の確保が深刻な課題となっています。既存の公共交通機関の維持が困難になる一方、デマンド交通などの新交通システムを検討しようにも前例が少なく、またコストや導入効果の予測も非常に難しい状況です。
富士通が提供する解決策

デジタルリハーサル技術によって、シナリオや交通条件、提供サービスなど様々な条件を変えながら繰り返しシミュレーションすることが可能です。住民利便性と収益・コストなどを総合的に評価し、地域の特性に合わせた持続可能な公共交通の設計・運営が可能となります。
公共交通のリ・デザインの支援がもたらす価値
- 最適な施策の選択
- 地域のニーズに合わせて、最適な車両数、運行ルート、サービス時間などを事前にシミュレーション。地域特性にあわせた最適な施策を自治体側で選択することが可能となります。
- 住民の利便性向上
- 待ち時間、乗車時間、乗り換え回数などを最小限に抑えるなど、住民の利便性を向上させる施策を検討できます。
- 収益・コストの事前評価
- 事前のシミュレーションで効果的な収益計画の立案やコスト削減施策などを検討、持続可能な公共交通の設計・運営を後押しします。
- 関係者間の合意形成
- シミュレーション結果を可視化することで、自治体、交通事業者、住民などステークホルダー間の合意形成を促進します。
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技術概要
ターゲット業界・ユーザー
以下の方々にご使用いただける技術です。
- デマンド交通の導入を検討する自治体担当者
- 地域へ公共交通を提供している交通事業者
ターゲット業界・業務の課題
- 生活に必要なバス路線の廃止が相次ぐ現状は、地域住民の足である公共交通が危機に瀕していることを示しています。労働人口の減少に伴う運転手不足は深刻であり、公共交通の「リ・デザイン」は喫緊の課題です。
- 解決策として、デマンド交通のような新しい交通システムが期待を集めています。しかし、前例が少ないために収益や効果の事前評価が困難である点が、導入を検討する自治体の課題となっています。
技術課題
ある地域に新しくデマンド交通を導入する場合に、それが住民にどのような移動利便性を提供するのか事前に見積もることは、以下の理由から困難でした。
- デマンド交通の導入の前例が無い/少ない
- 公共交通に対する要望は地域によって大きく異なる(他の地域の例が参考にならない)
- デマンド交通の効率は地理条件(サービスエリアの広さやその道路ネットワークの構造)や利用の仕方によって大きく異なる
解決策
富士通は、デジタル空間の都市を舞台に人や社会の振る舞いを再現するソーシャルデジタルツイン(SDT)技術によって、この問題の解決策を提供します。
- SDT技術によって、その地域の道路網や住民の移動行動を、仮想的な施策であるデマンド交通と共に、デジタル空間上にデジタルツインとして再現します。その仮想と現実が融合した世界の中で、車両や利用者の動きと相互作用をデジタルリハーサルすることで、まだ実在しないデマンド交通の交通運行の収益やサービス品質が測定できるようになります。
- 運行やサービスの条件を変えながらデジタルリハーサルを繰り返すことで、地域の期待する収益とサービスレベルを満たす運行・条件の発見が可能となります。
富士通の技術的優位性
- 富士通独自技術であるSDTによるデジタルリハーサルによって、公共交通のシナリオ、交通条件だけでなく、利用者へ提供されるサービス条件を指定して、それぞれの公共交通の運行や収益への影響を評価できます。
- 富士通製品であるオンデマンド交通サービスと連携予定であり、オンデマンド交通サービスの導入やクロスセクタによる効果最大化に貢献できます。
公共交通のリ・デザインの支援がもたらす価値(詳細)
- SDTのデジタルリハーサルによって、導入前例のない自治体においてデマンド交通導入時のサービスレベルや運行条件からどのような収益・サービスレベルになるか事前に評価することが可能となります。予算やサービス条件など、地域の要件に合わせた公共交通の設計が可能になります。
- デジタルの世界で事前にリハーサルすることで、導入したデマンド交通が、導入後に実際の地域の特性・要望とミスマッチすることが抑えられ、持続性の高い交通サービスが実現できます。
利用シーン
- 自治体の交通担当者
- 自治体の公共交通計画を策定していく中で、その自治体にデマンド交通の導入を検討する場合に、その効果とコストを事前に見積もるためにご使用いただけます。
- デマンド交通の事業者
- 自治体にデマンド交通の導入を働きかける場合において、導入効果を定量的に示すことで、自治体の意思決定を支援することが可能となります。
事例・ユースケース
デマンド交通の地域への導入を検討するに際して、自治体の交通担当者が必要とする見積もりとして以下が考えられます。
- コストはどの程度かかるのか?
- 車両は何台を用意すれば良いのか?
- 住民の移動ニーズをどの程度満たせるのか?
SDT技術は、その地域にデマンド交通が導入された場合の、実際の道路ネットワークの上での人の移動や車両の移動をデジタルツインで再現します。そして、住民の移動要求に応じる形でデマンド交通の車両が運行される一日の様子を、デジタル空間上でシミュレーションします。それによって、運行で得られる収入や必要コストを算出します。たとえば、以下の指標が求められます。
- 必要なコスト(車両台数、走行距離などを織り込んだコスト)
- 住民が乗車要求を出してから実際に乗れるまでの待ち時間
- 乗りたいと要求を出した住民の内で、希望通りに乗車できた割合
このシミュレーションは、条件を変えながら繰り返すことが出来ます。たとえば、最初は車両台数を3台で運用した場合をシミュレーションします。その後に、車両台数を5台に変更して再度シミュレーションを行い、両者の結果を比較することが出来ます。もちろん、車両台数が多い方が住民にとっての移動利便性は向上しますが、その分だけコストも増加しますので、両者を比較検討し、地域に最適なバランスを見つけ出すことになります。
このように、住民の利便性とコストのバランスを精緻に検討することが可能となります。
技術お試し
- デモ動画
関連情報
プレスリリース
- 2025年4月1日 国土交通省プレスリリース「地域交通DX:MaaS2.0のプロジェクトを新たにスタートします!デジタル技術の活用により地域交通の利便性向上や産業構造の強靱化を図るプロジェクトを推進。「リ・デザイン」の全面展開による持続可能な地域交通の実現を目指します。」
- 国土交通省の「地域交通DX:MaaS2.0」事業(2025年度)において採択された「地域交通の総合シミュレーションシステムの技術実証プロジェクト」で、本技術が活用されています。現在、国土交通省および関係自治体と連携し、実証実験に向けた準備を進めています。
- 2023年4月19日 「デジタルツイン上に人の行動を高精度に再現する技術を開発し、英国ワイト島にてシェアードeスクーターの運用改善に向けた実証実験を開始」