Home
量子コンピュータによる技術革新

富士通における量子活用の取り組み

量子古典ハイブリッド技術がもたらす価値
- 量子計算の適用
- 古典計算では解析が困難な、複雑かつ大規模な実問題に 量子計算を適用することで、大幅な効率化が期待できます。
- 古典計算とのハイブリッド化
- 量子計算に悪影響を及ぼすノイズの低減や、最適化等の補助により、 量子計算と古典計算それぞれの強みを活かすことで、実問題への適用が期待できます。
|
|
|
|
|
|
技術概要
ターゲット業界・ユーザー
下記の領域において、計算量の観点から現状のコンピュータでは計算困難な問題に対して、新しい量子加速アプリケーションを求めている研究開発企業。 • 材料探索(触媒、半導体、次世代太陽電池等新規材料開発、計算化学) • 運動制御 • 医薬品開発 • 時系列予測(空力特性、エネルギ、医療、金融)
ターゲット業界・業務の課題
例えば、材料分野における重要課題である触媒候補物質の探索問題においては、触媒の候補物質と反応物質との相互作用を解析する必要があります。しかし、従来のコンピュータでは複雑な触媒表面のモデル化や表面への分子吸着を網羅的にシミュレーションすることは非常に困難です。 そのため、実際に材料を試作してデータを集め、専門家が解析するという方法がとられており、膨大な時間やコストが必要な状況です。また例えばロボットの運動制御において、多関節ロボットは部分的な最適化で運動を制御しているため、複雑な作業ほど制御が難しく、計算負荷と精度の課題がありました。
技術課題
触媒探索などの計算化学においては、問題規模に対して計算量が指数的に大きくなってしまうため、通常のコンピュータでは計算困難な問題が存在します。またロボットの運動制御においても、関節数に対して膨大な計算量が必要となり、通常のコンピュータでは計算が困難となります。そのような問題に対して、量子コンピュータを用いて優位性が得られる量子加速アプリケーションの登場が期待されています。
量子古典ハイブリッド技術がもたらす価値(詳細)
今回、計算化学等の問題に対して、量子アルゴリズムと最適化(AI)技術等を組み合わせて分析を実行するスキームを構築しました。例えば、触媒探索問題における具体例では、触媒表面に表出する構造のモデル化に量子アルゴリズムの1つである量子フーリエ変換を活用し、その表面への分子の吸着エネルギー計算は組み合わせ最適化アルゴリズムによって計算します。このようなアプローチにより、現在のコンピュータでは解析が困難な複雑な構造を持つ触媒に対して、将来的に量子コンピュータによる探索の効率向上が期待されます。 また運動制御の問題に対して、例えば投球ロボット制御における具体例では、関節の回転を量子ビットで表現し変分量子アルゴリズムを活用し、古典計算の緻密な最適化と組みわせることにより、多関節の運動を制御します。このようなアプローチにより、現在のコンピュータでは困難な多くの関節を有するロボットの制御に対して、将来的に量子コンピュータによる統合制御の効率向上が期待されます。
富士通の技術優位性
量子コンピュータ、HPC、機械学習、組み合わせ最適化技術等など高度な技術を幅広く有しており、様々なビジネス領域での各技術の活用を進めています。そのため、それらを連携制御し、現実的な問題を解決するための複雑なワークフローを、適切な計算方法で実行するスキームを開発できるところに優位性があります。
利用シーン
- エンドユーザー
- 材料分野等では、これまでシミュレーションやモデル化が困難なために材料の試作実験が必要であった領域において、量子コンピュータおよび量子アルゴリズムの活用により計算機上でのモデル化が可能になり、材料探索タスクの飛躍的な加速につなげることが期待できます。
- 運動性制御では、これまでシミュレーションが困難なために部分制御の組み合わせで対応していた多関節ロボットの運動制御において、量子アルゴリズムの活用により全体制御が可能になり、宇宙開発や精密作業など様々な分野への応用が期待できます。
- アプリ開発者
- 量子と古典の様々なアルゴリズムの組み合わせにより、複雑な実用問題に対し、量子アルゴリズムを活用して効率的に計算できる環境の実現が期待できます。
事例・ユースケース
- 量子シミュレータとAI最適化を組み合わせた触媒探索アプリケーションにより、触媒のユニークな表面を出力し、さらに触媒表面に吸着する状態の抽出することが可能です。 事例:CeO2触媒(Laドープ)、PdZn触媒の表面構造モデリングと多分子吸着状態の抽出など。
- 量子古典ハイブリッド手法による関節角度計算により、投球ロボットへの負荷を抑えた上で、古典手法に比べて球速を倍以上に向上させることが可能です。
